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猫の妖怪というエンタメ、昔は恐かったけど今はかわいい

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

 

猫の妖怪

 

猫の妖怪といえばどんな姿を思い浮かべますか?
人によって異なるイメージかもしれませんね。

では不可思議なものと思われている妖怪ですが、
猫の妖怪はどのように生まれたのでしょうか?

主な猫の妖怪としてはどんなものがいるでしょうか?
その姿の昔と今の違いには興味深いものがあります。

 

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猫の妖怪はどのように生まれたか

猫はその姿や行動が神秘的であるゆえに
昔から不思議な生き物と思われていました。

ふいに音もなく現れたかと思えば
身軽にサッと姿を隠す素早さ、

昼と夜で瞳が変わり、
暗闇でもすべてを見通すような行動、

穏やかに寝ていたかと思えば
瞬間的に起きる野性的な反応、

人との生活に寄り添うようでいて
信じ切ってはいない知力を感じさせる。

猫のそんな不思議な性質から
妖怪視されるようになったのかもしれません。

そのため「猫は祟る」と信じられてきたのでしょうか。

こちらも参考にご覧ください。
『猫の祟りは本当にあるのか』

 

民間伝承では、
年老いた猫は知力と霊力を備えるようになると言われ、
妖怪変化した化け猫伝説が全国各地に伝えられました。

猫を妖怪視する文献は鎌倉時代からあったようですが、
盛んになったのは江戸時代。

じつは江戸時代には庶民文化が花開いて
歌舞伎、浄瑠璃、浮世絵などが盛んになりました。

そんな江戸時代、
妖怪ブーム・怪談ブームが起きるのです。

代表的なのは「四谷怪談」「牡丹灯籠」「鍋島騒動」
お聞きになったことがあるかと思います。

浮世絵も幽霊や妖怪を描いたものが人気を博し
多数創作されたそうです。

現代でも夏には怪談が人気ですが、
暑いときに恐怖で寒さを感じる効果だけでなく、
お盆が慰霊鎮魂の時期であることも関係しているとか。

大抵は理不尽に殺された人や猫が妖怪となって復讐する内容で、
犠牲となった人の霊を慰める意図があるそうです。

それにしても、
幽霊になった人も化け猫になった猫も

やたら恐怖心を煽る演出がなされており、
慰霊鎮魂とすぐには結びつかないような気がします。

江戸時代のこの怪談ブームは、恐いもの見たさの
庶民のエンタメだったのではないでしょうか。

神秘的で妖怪視された猫も
このエンタメにひと役買わされたような気がするのですが。

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主な猫の妖怪、昔と今の違い

では猫の妖怪はどのようなものか具体的に見てみましょう。

●猫の妖怪、昔は恐かった

猫の妖怪の代表は猫又と化け猫。

猫又とは尻尾が二股や七股などに分かれている猫の妖怪。
長い年月を生きた猫が変化し、不思議な力を持つようになって
“猫又”になったと言われています。

最初に出てくるのは鎌倉時代、
藤原定家が記した明月記の中に、
山間部で人を襲う猫の妖怪として登場します。

猫又は人の言葉を話したり、
手拭いを被って踊りを踊ったり、

人に取り憑いて悶死させたり、
大きな牙で人を食い殺したりするそうです。

また昔から「長生きし過ぎた猫は悪知恵をつけ、
化け猫になる」という言い伝えもあります。

この“猫又”と“化け猫”は別物なのですが、
伝説では混同されることが多く区別があいまいです。

はっきり違う点は、
猫又は尻尾が2本なのに対して化け猫は尻尾が1本。

そして
化け猫は行灯(あんどん)の油をなめる
ということになっています。

“行灯”とは時代劇に出てくるあの薄暗い灯り。

薄暗い部屋で、
行灯の灯りで障子に映る大きな猫の影、
恐そうですね。

妖怪猫

 

 

 

 

 

 

江戸時代、行灯には安い鰯油などが用いられていた。
魚油ですから、猫がなめたくなるというわけです。

これは当時の人々の食生活を考えるとわかります。

当時穀類や野菜類が中心の食事ですから、
猫に与える残り物は当然栄養価の乏しい猫まんま。

たまに魚の骨や頭をもらうか、
鳥やネズミを捕まえれば動物性蛋白質をとれますが、

普段のあっさり猫まんまでは猫は栄養不足。
行灯の油を盗みたくなるのも納得です。

そして2本足で立って行灯の油をなめる猫の影、
まさに“化け猫”と思ってしまいそうです。

化け猫は猫又と同じように人間の言葉をしゃべったり
手拭いを頭に被って踊ったりするほか、

人間にとりついたり祟ったり、
死人を操ったりすると言います。

猫又と化け猫、どちらも似たような猫の妖怪ですが、
江戸時代の人々をさぞ恐がらせたことでしょう。

猫又

 

 

 

 

●猫の妖怪、現代はかわいいキャラ

昔は恐かった猫の妖怪ですが、
今はだいぶ様相が違っていますね。

子供に人気の妖怪ウォッチは、
アニメやゲームで大人も知っている人気グッズ。

これは妖怪と銘打っているものの全く恐くないどころか
愛嬌があってかわいいキャラクター。

ゲゲゲの鬼太郎に登場するねこ娘も
今風のかわいい女の子。
妖怪なので怪異な力を持っていそうですが。

最近のにゃんこ大戦争というゲームのキャラも
まったく恐くはありません。

実写映画版の妖怪大戦争を見てもわかりますが、
これに登場するたくさんの妖怪には恐怖心を感じないどころか
なんだか笑ってしまいそうです。

恐怖の対象だった妖怪というものはもはや昔々の話のよう。
今はなんとなく親近感のある存在に変化したのでしょうか。

そもそも妖怪は実在しないと多くの人は思っていても、
エンタメとして楽しむことにしているようです。

ですので猫の妖怪も実在しないとわかった上で
かわいく想像して楽しんだ方が良いということですね。

それらは庶民の娯楽として作り出されたものであり
昔も今も人気エンタメのひとつなのですから。

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