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招き猫が小判を持つ矛盾、しかし格別の人気が示すもの

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

 

招き猫

 

“招き猫”は昔から人気の猫グッズ。
置物や種々の小物でよく見かけますね。

招き猫は胸に小判や大入りという札を抱えており、
商売繁盛・千客万来を祈願する縁起物です。

ところで、猫が小判を抱えている姿は、
「猫に小判」ということわざを連想させます。

その意味からすると矛盾しているようですが、
この縁起物の人気はすたれることがありません。
そこには日本ならではの理由がありました。

招き猫の由来とことわざとの関連、そして人気の理由、
意外なこのギャップを調べてみましょう。

 

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招き猫という縁起物は江戸時代に作られた信仰

招き猫は商売繁盛を祈願する縁起物で、
よくあるのは小判を胸に抱えた陶器製の置物。

小判ではなく“大入り”や“千客万来”という札を
抱えている猫もいます。

最近では陶製だけでなくプラスチックや布等の素材もあり、
キーホルダー、ストラップ、ぬいぐるみ、文具等々
製品は多岐にわたっています。

招き猫商品はとにかく人気がありますが、
その発祥は次のようなものです。

猫が日本にやってきたのは奈良時代。
中国から仏教とともに渡ってきたそうです。

船の荷物である仏教の経典や書籍などをネズミから守る役割
だったといわれています。

その際、猫が顔を洗うとお客が来るというような中国古典も
一緒に入ってきたとのこと。
これが千客万来・商売繁盛を願う縁起物の由来になったようです。

猫はネズミを退治してくれるので養蚕地でとくに重宝がられ
日本全国に広まった。

さらに米や農作物を守ってくれるので、
猫は守り神として大事にされるようになった。

やがて猫は平安時代には身近な愛玩動物となっていたことが、
『源氏物語』や『枕草子』の中の記述からわかります。

そして江戸時代の縁起物ブーム。

元禄期以降、仏縁を表す郷土玩具や泥人形を飾る習慣が流行、
全国各地で仏像、狛犬、牛馬、鳩などの人形が作られた。

その他、羽子板、破魔矢、絵馬、おみくじ、お守りなど
数多くの縁起物が作られたのは、
江戸時代の社会背景に理由があったそうです。

江戸といえば幾度もの大火が有名ですが、
疫病や洪水などでも多くの犠牲者が出ているので、
いつ死ぬかわからないという社会不安があった。

そして死後は生まれ変わる、
現世は前世の行いの結果とする因果応報の教えが浸透していた。

そんな世の中ですので、縁起物が受けたのでしょう。
庶民にとって一種の信仰のようなものだったかもしれません。

招き猫が縁起物に加わった由来は幾つかあります。

浅草の貧しい老婆の愛猫が夢枕に現れ、
自分を人形にすれば福徳があると言った。

その猫の姿を今戸人形の焼き物にして売ったところ
大評判になったという説をはじめ、

彦根藩由来の豪徳寺説、京都の伏見稲荷説など、
どれが本当かわからないいくつかの説があります。

各地の招き猫にはそれぞれいわれがあり、
色が白い猫だと福を招く、黒い猫は病を防ぐ、

上げている手が右手だと銭を招く、左手なら客を招くなどと言い、
両手を挙げている猫もいるとか。

とにかく縁起の良いものを喜ぶ庶民の生活の中に
こうして招き猫は浸透し定着したようです。

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猫に小判ということわざの意味と招き猫の矛盾

「猫に小判」という昔からのことわざは、
今や知らない人もいるかもしれません。

小判が江戸時代の貨幣であることは、
時代劇などで見たことがあるかもですが、

「猫に小判」の意味についてはよくわからない
という人が増えているようです。

念のため解説させていただきますと、

その意味は、

猫には小判がどれほど価値あるものかわからないため、
小判を与えられても意に介さない、
猫にとって小判は何の役にも立たないものだということで、

価値の分からない人に貴重なものを与えても
無駄に終わるということを表しています。

では小判はどれほどの価値があるのでしょうか?

一般的な小判は全体に打目が彫られた楕円形の金貨で、額面は一両。
それは庶民には縁のない高額な貨幣だったそうです。

時代が異なるので現代の貨幣と比較するのは難しいのですが、
大体約29万円とも、大工の賃金換算で約35万円とも言われます。

確かに小判は当時の人にとって非常に貴重なものでした。
でも猫にとっては役に立たないもの、鰹節以下のものです。

それなのに、招き猫は小判を抱えています。
ことわざの意味を考えると矛盾を感じますよね。

猫が全く関心のない小判を大事そうに抱えていて、
しかもそれを集めようとしているなんて、
ありえないことではないでしょうか・・?

でも、あえて妥当な解釈をしようとするなら、
猫には小判が不要なのでその主人に回すということでしょうか
・・・?

そこまで考える必要はないでしょうか。
あまり深く考えずに、
縁起物のマスコットと見なした方が良いのかもしれませんね。

招き猫の人気

招き猫の人気が示す日本人の猫好き度合い

日本人の縁起物好きは前述の江戸時代から続いているようで、
どこの観光地でもお土産売り場には縁起物が置いてあり、

とくに招き猫は必ずその中に入っています。
日本人はじつに猫が好きなのだと思わざるをえません。

動物愛護の観点からはペット後進国の日本ですが、
日本人が猫好きなのは海外でも有名なのだそうです。

中国では日本を「世界で最も猫好きな国」と伝えているとか。

確かにそうかもしれません。

猫は平安時代から文学にも登場し、
江戸時代には招き猫になり、浮世絵にも描かれていたのです。

猫にまつわる伝説が日本各地にあり、
猫神社も数多く存在しています。

昭和の時代はハローキティやドラエモンが人気を博しましたが、
近年ではゲームの世界にも猫が出演。

ポケモンや妖怪ウォッチなどが若者の間で大流行。
様変わりした猫のキャラクターが大人気です。

こうして見てくると
無意識のうちに猫を選んでいる日本人は
本当に猫が好きな国民のようです。

猫に癒しを感じるからか、
猫の魅力に惹かれるのか、

身近な動物の中でも猫は日本人にとって
特別な存在となっているのかもしれません。

様々な形の招き猫グッズが広く浸透していることが
それを物語っているように思えます。

 

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