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猫のスピリチュアル、それは神秘的な猫が持つ不思議な力。
人に癒しを与える猫は、飼い主や住む家を
自分で選ぶことがあると言われます。
15年ほど猫ボランティアをしてきた私も時折不思議な
猫のスピリチュアルを経験してきました。
ここでは実際に猫が自分で飼い主を選んだ、
運命の糸を感じさせる経験をいくつかご紹介します。
そもそも猫のスピリチュアルとはどのようなものか
猫のスピリチュアルとはどのようなことかと
思う人は多いかもしれません。
一般にスピリチュアルとは目に見えない精神世界のことで
神秘的、非科学的な分野と解釈されています。
宗教は別として霊的なことを信じる人がとくに
スピリチュアルを感じることができるとか。
この不思議なスピリチュアルがどのように
猫と結びつくのかというと、
神秘性のある猫が持つ不思議な能力、
癒しのパワーがスピリチュアルの力となるそうです。
猫のオーラ、スピリチュアルの力を信じる人は多く、
時折その種の話を耳にすることがあります。
たとえば「野良猫が玄関にいたら幸運の予兆」という説。
野良猫は安心して過ごせる家を感じ取ってその家に来るので、
そのような家は運気が良いと思われる、というわけ。
また野良猫が飼われたい家を自分で決めるという話も
猫のスピリチュアルがなせることだそうです。
たしかに不思議な縁で野良猫を飼うことになった人は多いかも。
偶然行き倒れていた子猫を保護して
かけがえのない家族になったという話や、
なぜか野良猫が真っ直ぐ自分の前に突き進んできたとか、
母猫が子猫を連れてきて置いて行ったという話などは
しばしば聞くのではないでしょうか。
そのような運命の糸を感じさせるのが猫のスピリチュアル、
人ではなく猫の方が飼い主を選んでいる不思議な縁なのです。
猫は飼い主を選ぶスピリチュアルを秘めている
目に見えない不思議な力、神秘的な世界
というものに懐疑的な私ですが、
“猫のスピリチュアル”を一概に否定することはできません。
長く猫の保護や譲渡に携わってきた中で
不思議な縁というものを感じることが度々あったからです。
男女間でよく聞く「運命の出会い」という言葉は、
猫と人の関係においても当てはまるようです。
この場合は猫の方が運命の糸を握っているようですが。
外猫が家と飼い主を選んだ事例
知人から聞いた事例を2つご紹介します。
★その家では複数の猫を飼っていました。
ある日窓の外にまだ子猫のような猫が現れ、
室内の様子をじーっと見ているのです。
近所の放し飼い猫かもと思い放っておくと、
窓枠に手をかけ伸び上がるようにして
中の猫たちを見ている。
なんとなく羨ましそうな雰囲気。
でも知人はこれ以上猫を増やしてはいけないと
家族に言われていたので無視するしかない。
ところがその外猫は毎日窓に張り付いて
中の猫たちの遊ぶ様子や寝たり食べたりする様子を
じーっと見つめるのです。
家猫たちは皆穏やかでその外猫を嫌がる様子はなく、
外猫は時々甘えるように声をかける。
すると近寄っていく家猫もいます。
外猫はここの仲間に加わりたいのだとわかります。
毎日そんな哀れな様子を見せられた知人は
とうとう家の中に入れてあげました。
その外猫は大喜びで仲間入りし
人にもすぐなついて即家族の一員になったそうです。
この猫は気に入ったその家に住みたくて毎日通い、
念願かなってその家の飼い猫になりました。
まさに猫が自ら住む家と飼い主を選んだという話です。
★ある歯科医院にやせ細ったメス猫が現れました。
生き物を飼ったことのない歯科医家族でしたが、
可哀想に思い食べ物を与えました。
それ以来猫はいつも玄関先で待つようになり、
やがて、
いつも玄関内で猫エサを食べるように・・
猫のかわいさに気づいた歯科医家族は
屋内で飼おうと思いキャットタワーも購入したが、
猫はやはり外に行きたがる。
家族はボランティアに相談して、
猫が増えないよう不妊手術を施した。
猫は窓の下にある室外機の上にチョコンと座り、
満足そうに周囲を眺めるのが日課のひとつ。
すっかり情がうつった歯科医家族、
室内外出入り自由で飼うことにしたそうですが、
これも猫が飼い主と住む家を自分で選んだ事例です。
譲渡会で猫が飼い主を選んだ事例
★エイズ猫への申し込み
エイズキャリアの猫にはなかなか申し込みがありません。
子猫ならまだしも成猫となると、
エイズは恐くないと説明してもためらう人がほとんど。
でもある日
なかなか決まらないエイズキャリアの成猫たちに
思わぬ出会いがあったのです。
最初1匹だけで譲渡会に出していた猫が、
以前飼っていた猫にそっくりだということで、
一旦帰宅した娘さんが、
お母さんを連れてきて申し込まれました。
思いがけない申し込みに喜び、色々話し合ううちに
「猫はお友達がいた方が良いので、
いつも一緒にいる猫をもう1匹」という申し出。
確かにいつも一緒にいる猫はいますがそれもエイズキャリア、
あまり愛想のないオスのデカ猫2匹。
以前も2匹飼っていたからと、
偏見のない寛大な申し込みに本当に感動しました。
そしてトライアルを経て正式譲渡できましたが、
時間をかけて見守ってくださっている様子を聞くたびに、
不思議な縁を感じたものです。
何しろ昔の飼い猫の写真を見ると、
「そっくり」ではないのです。
その母娘を飼い主に選んだエイズ猫が
二人の目をスピリチュアルで引き付けたのかもしれません。
★障害のある猫への申し込み
障害のある猫もなかなか里親に行けないのが実情ですが、
やはり猫のスピリチュアルで運命の糸が結ばれました。
ある日保護したのは子猫をカラスに奪われてしまった黒の母猫。
子猫を守ろうとしてやられたのか片目がつぶれていました。
人なつこいので避妊と治療を終えたあと譲渡会に参加。
長期戦を見込んでいましたが、この時も思わぬ出会いが・・
中学1年生という男の子が
「障害があるため申し込みがないという猫はいますか?」
は? すぐには飲み込めずしばし沈黙。
すると同じ言葉を繰り返す男の子。
子供が言う内容と思えず考えていると、
後ろから母親が出てきて同じことを言います。
猫を迎えるにあたって親子で話し合い、
里親に行けない猫に申し込むことに決めたそうです。
なんと素晴らしい家族!
かわいい子猫もたくさんいるのに
わざわざ障害のある猫を選ぶなんて、
思慮の深い同情心のある子供に感動を覚えました。
片目の黒猫を紹介すると男の子は偏見なく近づき、
やさしく声をかけます。
猫は片目をくりくりさせて男の子を見つめ
呼びかけに応える様子。
まるで、待っていたのでは?と思うような。
その後の報告では、猫はその男の子にベッタリなついて
家族みんなに可愛がってもらっているとのこと。
家族は障害のある猫を選んでくれましたが、
じつは猫の方がこの家族を飼い主に選んだのかもしれません。
この家族を呼び寄せたのは黒猫のスピリチュアルだったかも
とひそかに思ったものです。
★猫と里親さん共に初めての譲渡会での縁
その日は急な用事でいつもは通らない農道を走っていました。
道路の端にうずくまっているロシアンブルーのような猫を発見。
周りは畑ばかりでこんなところに猫がいるのは不自然。
車を止めて寄っていくと全く逃げません。
手持ちのエサを与えてみると空腹だったらしく勢いよく食べる。
背骨が浮き出るほどガリガリに痩せていました。
ポツポツある民家に聞いて回るとどの家も猫は飼っていないとの答え。
猫はその場を離れずこちらを見ている。
「おいで」と言うと喜んでそばに来た。
人に慣れているので、おそらく捨て猫。
保護したらなんとも人懐こくて優しい子。
抱っこするとゴロゴロ喉を鳴らしてなすがまま状態!
こんなに人が好きということはやはり飼い猫だったよう。
念のため迷子猫かどうか警察に確認。
動物病院で診てもらい生後6ヶ月くらいであること、
飢餓状態だったので捨てられてから数週間経つことが判明。
しばらく我が家で養生してから里親探しすることになりました。
一方、後日里親さんになる人は2年前に猫を亡くしたご夫婦。
もう猫は飼わないと思っていたのが偶然譲渡会のポスターを見て
隣の県だけど行ってみようという気になった。
当日は亡くなった先代猫の命日。
お墓参りをしてから譲渡会へ向かったとのこと。
初めての譲渡会、居並ぶ猫ケージのひとつに目が止まり、
そばに寄ってみるとロシアンブルーMIXの猫と目が合う。
亡くなった猫とは正反対の色合いだけど、
何を感じたのか奥さんはその猫に一目惚れのような。
遠いけどお願いしますと申込みされて
色々お話を伺ううちに私の方でもこのご夫婦に縁を感じました。
そして家庭訪問の後トライアル開始。
初対面で抱っこできたことに里親さんは大感激。
離れて暮らす息子さんや娘さんにも気に入られ、
お客様たちにも気に入られて猫はみんなの人気者に。
何も悪さをしない、猫じゃらしで元気に遊ぶ、
立ち上がって抱っこをせがむ、一緒の布団に寝る、
ひとつ一つの行動がかわいくてたまらない里親さん、
「宝物」のように可愛がってくださっています。
私がいつもは通らない道を走って猫を見つけたこと、
里親さんが先代猫の命日の日にわざわざ遠くに出かけたこと、
両者共初めての譲渡会で出会い運命の糸を感じたこと、
すべては猫のスピリチュアルだったと思っています。
見えない運命の糸に導かれた人と猫の出会い。
これらの経験から懐疑的な私でも
猫のスピリチュアルが結ぶ“縁”というものがあると
信じるようになった次第です。