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猫にもフィラリア予防を!という呼びかけに驚く人がいます。
元々犬に寄生する寄生虫で猫には無縁と思っていたからです。
なぜ猫にフィラリア予防が必要なのでしょうか?
フィラリアの正体を知るとともに、
感染した場合の症状、なぜ危険なのか、
どのように予防すれば良いかなどご紹介します。
なぜ猫にフィラリアが?そもそも犬の寄生虫なのに?
フィラリアと言えば犬の病気というイメージがあります。
猫がフィラリアなんて聞いたことがないという人は多いでしょう。
でも最近は猫にもフィラリア予防した方が良いと言われます。
なぜなら、猫もフィラリア症になるからです。!!!
患者数は犬ほど多くはないものの、
猫の1割はフィラリアにかかっているとのこと。
しかもそのうち約4割が室内飼いの猫だったというのです。
(゚д゚)!
猫の飼い主には衝撃の事実!
猫のフィラリア症なんて初耳、
以前はそんな注意喚起されたことがない、と
少々腹立たしく感じる人がいるかもしれません。
昔はフィラリアは犬に関してだけ警告されており
猫に関しては取り上げられなかったのですから。
しかし
問題視されなかったからといって
存在しなかったわけではありません。
夏場になると蚊が出てきて人も犬も刺されるのですから、
猫にも蚊は寄ってきているはず。
ただ、フィラリアはとくに犬に寄生する寄生虫なので、
本来の宿主ではない猫の体内に住み着く確立は低く、
感染の初期には目立つ症状がほとんど現れない、
病院診察での発見が難しい、
などの理由から、
猫フィラリアの症例は極めてまれだったようです。
近年獣医療の進歩に伴いフィラリアに関する研究が深められ、
猫の場合の症例が解明されてきました。
ではフィラリアの正体を確認しておきましょう。
フィラリアは“犬糸状虫”という寄生虫。
寄生するメインは犬ですが、ほかの動物にも寄生します。
媒介するのはヒトスジシマカやアカイエカという蚊。
感染した動物の血を吸った後に別の動物を刺して感染させる。
人間は刺された時のかゆみが耐えられないので
蚊に刺されないよう気を付けるものですが、
犬や猫は自分で気を付けて蚊を避けたりできません。
万一ペットにフィラリアをうつされたら大変です。
フィラリアに感染した犬や猫の平均寿命はわずか5~6年。
短い命だったと嘆くことにならないよう、
予防策を講じておきたいものです。
猫フィラリア、症状は重篤でなくても虫を排除できない
猫がフィラリアに感染した初期には
犬の場合と同様ほとんど症状が現れません。
そのため発見が遅れて、
わかったときには重症ということになるようです。
感染して数年後に食欲低下や咳などの症状が現れて初めて
飼い主は異常に気づくわけです。
また咳や呼吸困難、下痢や嘔吐、虚弱、食欲不振、
体重減少などの症状もあると言いますが、
よくある症状なので特定の病名は判別しにくく、
血液検査でもフィラリアを検出しずらいとのこと。
つまり猫のフィラリア症は
初期はもちろん末期になっても判定が難しいのです。
そのため現れている症状ごとに対症療法をするしかなく、
根本的な治療には至らないのが実情。
フィラリアの恐ろしいところは
かかってしまったら取り除くことができないという点。
上記の、診断が難しいという理由だけでなく
次のような難点もあるからです。
↓
フィラリアは、蚊に刺された時点では幼体の状態。
猫の体内で成長して成虫となり、心臓や肺動脈に定着。
心臓に住み着いたら、摘出手術が必要となりますが、
心臓が小さいため負担が大きく、麻酔による危険もあり、
死ぬかもしれないのでハードルが超高い。
また、フィラリアは通常心臓の右心室に住み着くのですが、
まれに右心室を離れて後大静脈などに移動してしまい、
後大静脈症候群という重大な病気を発症する場合がある。
これに陥った猫は症状を現わしてから数時間で死に至るという
恐ろしい病気です。
では駆虫薬でフィラリアを退治するのはどうかというと、
駆虫薬で成虫を死滅させるとそれによる免疫反応で
猫が死ぬかもしれない危険があるとのこと。
さらに、フィラリア成虫が寿命1~3年で死ぬとき、
同様に重篤な症状が出てしまうわけで、
突然死した猫の死因のひとつと言われています。
このように
もし猫がフィラリア症になってしまうと完治はできない、
手術で取り除くことは危険で難しい、
猫が突然死する可能性がある、
猫のフィラリア症はそれほど難しい感染症だったのです。
飼い主としてはぜひとも予防したいと思います。
憎きフィラリアを持っているかもしれない蚊は、
決して愛猫に近づけないようにしなければなりません。
猫のフィラリア予防は運を信じて駆虫薬で!
一旦猫の体内に入ったフィラリアは排除できないということで、
決して入らないようにする必要があります。
つまり媒介する蚊に刺されないようにしなければなりません。
一般的な対策はどうでしょうか↓
虫除けスプレー・・人間はよく服の上からふりかけますが、
体を舐める猫には使えません。
蚊取り線香は・・?
煙が充満すると人間も目と喉を痛めますが、猫も同じ。
我が家では声がかすれてしまった猫がいました。
煙の出ない電気蚊取りは・・?
煙がないので喉に痛みはないのですが、
殺虫剤が散布されているのは虫除けスプレーや蚊取り線香と同じこと。
いずれも猫のいる室内では使えないという結論に。
ということで我が家では、
窓を開けた後の短時間だけ電気蚊取りをつけて、
次にエアコンをつけて窓を締め切り、
蚊の侵入を防ぐ、というやり方にしました。
しかし、何といっても
フィラリアを防ぐのに最も効果的なのは事前の予防薬!
猫ボランティアは、外猫を保護した際は必ずノミ・ダニ・回虫を
落とすため駆虫薬を滴下します。
それによって今猫に付いているノミ・ダニ・回虫を駆除し、
その後は付かないように予防するわけです。
その際、犬糸状虫つまりフィラリアを予防できるものを
選ぶことにします。
駆虫薬にはいくつかの種類がありますが、
ノミ・ダニ・回虫とさらに犬糸状虫を寄生予防する駆虫薬は
・ブロードライン
・レボリューション
・アドボゲード
これらは動物病院で購入できますし、
病院で付けてもらうこともできます。
蚊が活動する時期、毎月1回滴下すれば確実にフィラリアを
予防できるので安心です。
なお、フロントライン、ブラベクト、という駆虫薬もありますが、
それらはフィラリア予防には効果ありません。
猫のフィラリア予防に駆虫薬を使うということは、
ある種賭けのようなものかもしれません。
万一フィラリア成虫が体内にいたなら極めて危険、
突然死の可能性があります。
でも成虫を取り除けないのなら放っておいても危険度は同じ。
それならいっそ数が少ないうちに賭けてみたいと思います。
もしも猫がフィラリア持ちの蚊に刺されたとしても、
フィラリア幼体が猫の体内に入って生き延びる確立は低い、
成虫にまで成長する確立はなお低い、
愛猫がフィラリア患者になっている確立は極めて低いわけです。
ならば愛猫の運を信じて、ノミ・ダニ・回虫の駆除&予防と同時に
フィラリア予防の駆虫薬を付けてあげるのが良いと思うのです。