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猫が家出してしまった! なぜなのか?
猫が家出する理由はいくつかありますが、
帰ってこないと飼い主は泣き暮らすことになります。
どのような場合に猫は帰ってこなくなるのか、
猫の気持ちになって考えてみましょう。
このページでは帰ってこない本気の家出の実例と、
家出を防ぐための提案をご紹介します。
猫の本気の家出は帰ってこない
“家出”と“脱走”は違います。
脱走はプチ家出とも言えますが本気ではありません。
短い時間だったり数日の期間があったりしますが、
脱走する猫の多くは帰ってくるでしょう。
でも猫が本気で家出したのであれば帰ってこないでしょう。
猫にも感情や意思があるのですから。
本気かどうかはどうすればわかるでしょうか?
猫が家出したときの状況や帰ってこない期間から
猫の気持ちを想像するしかないのですが、
下記の事例を考えてみましょう。
(なお、ここでは飼い主の虐待や飼育放棄などは取り上げません。
論外なことですので。)
↓
(1)新入りの子猫のせいで居心地が悪くなり家出。
ある田舎のお宅での話です。
複数の猫を保護している農家の夫婦ですが、
田舎なので家は開放的、猫は放し飼い状態。
5匹の先住猫は皆保護猫で、
半数以上は血の繋がりのない猫たち。
ある日作業場近くに子猫が捨てられていたので、
保護して育てました。
この子猫はオスで今までの猫たちより強い性格。
大きくなるにつれ個性を発揮しほかの猫たちを圧倒。
本人は遊びのつもりでほかの猫に飛びかかり、
嫌がって逃げる先住猫たちは外にいる時間が長くなり、
とうとう帰って来なくなったとのこと。
おおらかで気にしないタイプの猫だけ残って、
ほかは戻って来ないのだと嘆く飼い主。
この場合、放し飼いというのが最大の問題ですが、
飼い主の対応にも問題があったかもしれません。
子猫はかわいい上に、しょっちゅう手をかける必要があるので、
どうしても子猫中心の生活になりがちです。
子猫は甘やかされて育ち、大人猫はないがしろにされがち。
そして元気な子猫はしたい放題の振る舞い。
先住猫は居場所を奪われたと感じ、
飼い主の愛情も信じられなくなってしまいます。
猫にも感情があるのです。
自分が無用な存在だと思うと、
居心地の悪い家にはいられないので、家出してしまうのです。
子猫ではなく成猫であっても
新たに猫を迎え入れる場合は同様です。
以前こんな例がありました。
元気な若い猫がトライアルに行ったのは高齢の先住猫がいるお宅。
若い猫の傍若無人の振る舞いに先住猫は圧倒され、
ストレスが大きすぎて体調を崩し、精神的に限界だったのか
認知症の老人のようになってしまいました。
まるで変わってしまった様子に飼い主はとても驚き、
トライアルは中止となりました。
先住猫は家出したかったことでしょう。
でも完全室内飼いの家なのでそれができず、
心の病に陥ったものと思われます。
このような場合外に出られる猫は家出してしまいます。
そして
こうして家出した猫の多くは帰ってこないのです。
野良生活ではどうしても食べていけなくて、
やむをえず帰ってくる例もいくつかありますが・・・
2匹目、3匹目を迎えようと考えている人は
とくに子猫を迎える予定の人は、
先住猫への十分な配慮が必要であることを
思いに留めていただきたいと思います。
(2)ほかの猫たちと折り合いが悪くて家出。
家の内外自由に行き来している猫は、
いつでも自分の好きなところに行けますので、
自分の家より、よその家が気に入ると
しょっちゅうそこにお邪魔することになります。
自分の家の居心地が悪ければなおさらです。
我が家の居候猫がそうでした。
この猫の家には全部で5匹の猫がいます。
みんな血の繋がりがあるのですが、
この猫はほかの4匹と相性が悪いようで、
なぜかいつもいじめられてしまうとのこと。
朝、4匹にいじめられて家を飛び出し、
夕方、飼い主が名前を連呼して連れ戻すという毎日。
たまたまその隣に我が家が引っ越して、
この猫が気にかかり声をかけたのがきっかけで、
猫は頻繁に我が家の駐車場や玄関先に来るようになり、
エサをもらったり猫じゃらしで遊んだりしてるうちに
帰りたくなくなったようです。
丁度病院治療が必要であることがわかり、
しばらく我が家で預かり通院することになりました。
居候となった猫はすぐに我が家での生活になじみ、
ほかの猫たちを意に介さず、
ずっと前からここに住んでいます的な態度。
そして、とうとう我が家の一員になってしまいました。
この場合も(1)と同様飼い主の対応が問題だったと思います。
そして、屋内外出入り自由という飼い方は、
つまり放し飼いはこんな危険もあるわけです。
我が家の居候猫は自分で住む家を選んだのですが、
場合によっては別の家に閉じ込められてしまうことも起こりえます。
帰ってこないと思っていたら、
よその家で飼われていたなんて話は実際あるのです。
猫が死期を悟って家出した場合は帰ってこない
野良猫が事故やケンカで大怪我した場合、
猫は誰にも邪魔されない場所にじっと潜んで
自分の免疫力で回復しようとするものです。
病気の時も同様に、どこかに隠れてじっと回復を待ちます。
しかし
免疫力で怪我や病気を克服できなかった場合、
猫はその場所で死ぬことになります。
家の内外出入り自由の放し飼いの猫も、
どこかに潜んで病気と闘うのですが、
その場所は飼い主でさえ見つけられません。
自分で死期が近いことを悟ると猫は家の外の隠れ場所に行きます。
“猫は死ぬ時姿を隠す”とよく言われますが、
じつはこういうことなのです。
放し飼いの猫が高齢で病気になった場合、
いつか帰ってこなくなる日が来るかもしれません。
そんな別れを想像すると悲しくなりますが、
心の準備をしておくことも必要でしょう。
でも、完全室内飼いの猫の場合は外に行けないので、
姿を隠す場所は限られています。
飼い主が病院にかけて看病したりしていれば隠れようもなく、
飼い主の眼前で息を引き取ることが多いです。
猫と飼い主の絆が深ければ、
飼い主に看取られて死ぬのは本来の姿ではないとしても
猫は満足でしょう。
大好きな飼い主と最後まで一緒にいられるのは
猫にとって幸せなことなのです。
猫の家出を防ぐにはどうする?
プチ家出も本気の家出も飼い主にとっては大問題。
なんとか防ぎたいものです。
どんな対策があるでしょうか?
↓
●猫を完全室内飼いにする。
なんといっても最高の防止策は完全室内飼いにすることです。
半野良のような飼い方ではいつ姿を隠すかわかりません。
いくら愛情を注いでいても、
猫はふらっと出ていくかもしれず、
出先で事故やケンカにあって大怪我するかもしれません。
そうしたら戻ってはこれないでしょう。
当然不妊手術はしておかなければなりません。
でないと発情のたびに悩ませられます。
そして
完全室内飼いの猫には
脱走防止策を講じる必要がありますね。
●脱走防止策を徹底する。
猫が脱走しそうな場所を調べて、
脱走できないようにすることが肝要。
対策してるつもりでも、
意外と抜け落ちている部分があるものです。
詳しくは
「猫の脱走は帰ってくる率高いので諦めない」という
ページを参考にご覧ください。
●家出したいと思わせないこと。
物理的に脱走できないようにするだけでなく、
脱走したいと思わせないことも大切です。
家の中で十分満足な生活ができていれば、
外に行く必要はありません。
猫が喜ぶものを備えるとともに、
十分な愛情を注いで絆を強めましょう。
そうすれば万が一外に出たとしても帰って来るでしょう。
とくに複数飼いの場合は飼い主の意識が重要。
上記の事例でおわかりのように、
複数の猫たちを平等に扱い、平等に愛情を注ぎ、
疎外されていると感じさせないことです。
そして子猫にはしつけが必要です。
飼い主は母親代わりなのですから。
先住の大人猫を優先にして、
大人への敬意、年功序列を教えます。
なんだか人間の子育てと似ていますが、
辛抱強く教えれば子猫にも社会性が身につきます。
家庭内が平和で満足しているのであれば
猫は家出したいとは思わないでしょう。