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猫が家出してしまった!
なぜなのか? 帰ってくるのか?
猫に家出された飼い主は心配でたまりませんね。
猫が家出する理由はいくつかあります。
そして帰ってくる場合と帰ってこない場合があるのです。
では、猫はどのような場合に帰ってくるのか、
帰ってこないのはどのような場合なのか、
猫の気持ちになって考えてみましょう。
そして、帰ってこない本気の家出の実例と、
家出を防ぐための提案をご紹介します。
プチ家出の脱走は帰ってくる率高い
“脱走”は本気の家出とは言えない“プチ家出”。
「ちょっとしたすきに脱走された」ということは
多くの飼い主が経験しているかもしれませんね。
例外的に外の世界に興味のない猫もいますが、
多くはすきあらば脱走しようとします。
なぜ脱走するのか、
猫によって理由はいろいろです。
やんちゃな子猫であれば、外の世界への好奇心でしょう。
家の中にはない珍しいものに興味津々ですから。
不妊手術をしていない猫であれば、
発情時にはどうしても脱走したがります。
そして、
たったひと晩脱走したメス猫が、2ヶ月後には子猫を産みますし、
オス猫は1週間どころか1ヶ月近く放浪することもあるのです。
不妊手術しない限り発情は止められません。
また自宅の居心地に不満で家出することもあります。
家庭に赤ちゃんが生まれたり、新しく子猫を迎えたりした場合、
飼い主の関心はそちらに向くので猫は面白くありません。
あるいは複数飼いの場合、十分にエサを食べられなかったり
オス同士の勢力争いが生じることもありえます。
居心地の悪さを我慢できない猫は脱走して
外でのびのび自由に生活することを選ぶかもしれません。
しかし
外に出たものの時間が経てばお腹が空きます。
いつものエサは外にはありません。
そして生来臆病な猫にとって外の広さはかえって不安。
やんちゃ猫も、発情猫も、不満猫も、
自宅に戻ってエサを食べ自宅の寝床で眠りたくなります。
このような経過をたどった猫は帰ってくることが多いです。
安定して食べていける場所は外にはないのですから。
ただし“自分の家”を認識していなければ帰りたくても帰れません。
引っ越したばかりとか、猫を譲り受けたばかりという場合は
飼い主が探してあげないと猫は帰ってこれないでしょう。
死期を悟って家出した場合は帰ってこない
野良猫が事故やケンカで大怪我した場合、
猫は誰にも邪魔されない場所にじっと潜んで
自分の免疫力で回復しようとするものです。
病気の時も同様に、どこかに隠れてじっと回復を待ちます。
しかし
免疫力で怪我や病気を克服できなかった場合、
猫はその場所で死ぬことになります。
家の内外出入り自由の放し飼いの猫も、
どこかに潜んで病気と闘うのですが、
その場所は飼い主でさえわかりません。
自分で死期が近いことを悟ると猫は家の外の隠れ場所に行きます。
“猫は死ぬ時姿を隠す”とよく言われますが、
じつはこういうことなのです。
放し飼いの猫が高齢で病気になった場合、
いつか帰ってこなくなる日が来るかもしれません。
そんな別れを想像すると悲しくなりますが、
心の準備をしておくことも必要でしょう。
でも、完全室内飼いの猫の場合は外に行けないので、
姿を隠す場所は限られていますね。
飼い主が病院にかけて看病したりしていれば隠れようもなく、
飼い主の眼前で息を引き取ることが多いです。
猫と飼い主の絆が深ければ、
飼い主に看取られて死ぬのは本来の姿ではないとしても
猫は満足でしょう。
大好きな飼い主と最後まで一緒にいられるのは
猫にとって幸せなことなのです。
本気の家出は帰ってこない
プチ家出した猫は多くが帰ってきますが、
本気で家出した場合はほとんど帰ってきません。
本気かどうかはどうすればわかるでしょうか?
猫が家出したときの状況と
帰ってこない期間によって想像できると思います。
次の2つの事例をご紹介します。
↓
(1)新たに来た子猫のせいで居心地が悪くなり家出。
ある田舎のお宅での話です。
複数の猫を保護している農家の夫婦ですが、
田舎なので家は開放的、猫は放し飼い状態。
6匹の先住猫は皆保護猫で、
半数以上は血の繋がりのない猫たち。
ある日作業場近くにまた子猫が捨てられていたので、
保護して育てました。
この子猫はオスで今までの猫たちより強い性格。
大きくなるにつれ個性を発揮しほかの猫たちを圧倒。
本人は遊びのつもりでほかの猫に飛びかかり、
嫌がって逃げる先住猫たちは外にいる時間が長くなり、
とうとう帰って来なくなったとのこと。
おおらかで気にしないタイプのメス1匹だけ残って、
ほかは戻って来ないのだと嘆く飼い主。
この場合、放し飼いというのが最大の問題ですが、
飼い主の対応にも問題があったかもしれません。
子猫はかわいい上に、しょっちゅう手をかける必要があるので、
どうしても子猫中心の生活になりがちです。
子猫は甘やかされて育ち、大人猫はないがしろにされがち。
そして元気な子猫はしたい放題の振る舞い。
先住猫は居場所を奪われたと感じ、
飼い主の愛情も信じられなくなってしまいます。
猫にも感情があるのです。
自分が無用な存在だと思うと、
居心地の悪い家にはいられないので、家出してしまうのです。
こうして家出した猫はほとんど帰ってきません。
野良生活ではどうしても食べていけなくて、
やむをえず帰ってくる例もありますが・・・
2匹目、3匹目を迎えようと考えている人は
とくに子猫を迎える予定の人は、
先住猫への十分な配慮が必要であることを
思いに留めていただきたいと思います。
(2)ほかの猫たちにいじめられて家出。
家の内外自由に行き来している猫は、
いつでも自分の好きなところに行けますので、
自分の家より、よその家が気に入ると
しょっちゅうそこにお邪魔することになります。
自分の家の居心地が悪ければなおさらです。
我が家の元居候の白猫がそうでした。
この白猫の家には全部で5匹の猫がいます。
みんな血の繋がりがあるのですが、
この猫はほかの4匹と相性が悪いようで、
なぜかいつもいじめられてしまうとのこと。
朝、4匹にいじめられて家を飛び出し、
夕方、飼い主が名前を連呼して連れ戻すという毎日。
たまたまその隣に我が家が引っ越して、
この白猫が気にかかり声をかけたのがきっかけで、
白猫は頻繁に我が家の駐車場や玄関先に来るようになり、
エサをもらったり猫じゃらしで遊んだりしてるうちに
帰りたくなくなったようです。
丁度病院治療が必要であることがわかり、
しばらく我が家で預かり通院することになりました。
居候となった白猫はいつも私について回り、
すぐに我が家での生活になじみ、
ほかの猫たちを意に介さず、
ずっと前からここに住んでいます的な態度。
そして、とうとう我が家の一員になってしまいました。
たまに隣家の飼い主に会わせようと連れて行ってみると、
猫だけでなく飼い主にさえ唸り声を上げたのにはみんなビックリ。
もはや帰る気持ちは全くないと感じさせられ、
隣家の飼い主はこの猫をあきらめました。
まれなことではありますが、
この白猫は自分で飼い主と住む家を選んだのだと思います。
家出を防ぐにはどうする?
プチ家出も本気の家出も飼い主にとっては大問題。
なんとか防ぎたいものです。
どんな対策があるでしょうか?
↓
●猫を完全室内飼いにする。
なんといっても最高の防止策は完全室内飼いにすることです。
半野良のような飼い方ではいつ姿を隠すかわかりません。
いくら愛情を注いでいても、
猫はふらっと出ていくかもしれず、
出先で事故やケンカにあって大怪我するかもしれません。
そうしたら戻ってはこれないでしょう。
当然不妊手術はしておかなければなりません。
でないと発情のたびに悩ませられます。
そして
完全室内飼いの猫には
脱走防止策を講じる必要がありますね。
●脱走防止策を徹底する。
猫が脱走しそうな場所を調べて、
脱走できないようにすることが肝要。
対策してるつもりでも、
意外と抜け落ちている部分があるものです。
詳しくは
猫が脱走したらどう探すか?というページを
参考にご覧ください。
●家出したいと思わせないこと。
物理的に脱走できないようにするだけでなく、
脱走したいと思わせないことも大切です。
家の中で十分満足な生活ができていれば、
外に行く必要はありません。
猫が喜ぶものを備えるとともに、
十分な愛情を注いで絆を強めましょう。
そうすれば万が一外に出たとしても帰って来るでしょう。
とくに複数飼いの場合は飼い主の意識が重要。
上記2つの帰ってこない事例でおわかりのように、
複数の猫たちを平等に扱い、平等に愛情を注ぎ、
疎外されていると感じさせないことです。
そして子猫にはしつけが必要です。
飼い主は母親代わりなのですから。
先住の大人猫を優先にして、
大人への敬意、年功序列を教えます。
なんだか人間の子育てと似ていますが、
辛抱強く教えれば子猫にも社会性が身につきます。
家庭内が平和で満足しているのであれば
猫は家出したいとは思わないでしょう。