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猫も人のようにやきもちをやくことがあるとご存じでしたか?
どんな場合にやきもちをやくのか、どんな風に態度に現れるのか
実際の例からご紹介します。
猫のやきもちは多頭飼いになると多く見られますが、
問題を少なくするにはどんなことに留意すれば良いかご覧ください。
また多頭であっても飼い主の対応によって状況は変えられます。
最後にお試しいただきたい対処法をご提案いたします。
猫はやきもちをやくことが多い
“猫がやきもちをやく”というのは
猫を飼っていない人には一見わかりにくいかもしれません。
猫はポーカーフェイスで表情を読み取ることが難しいからです。
猫のやきもちは人間の嫉妬とは違います。
人間と違って猫はあれこれ根に持ったり何か企んだりはしません。
しれっとして策士のような顔をしていますが、
猫は意外と単純で、猫のやきもちは制御可能ではあります。
どういう場合に猫はやきもちをやくのでしょうか?
多くの場合飼い主の愛情や関心が自分ではなくほかの猫に向いているとき、
その猫に対してやきもちをやきます。
一般的に猫は平和志向なので、
2,3頭ならあからさまな争いはあまり見られないでしょう。
でも多頭になると問題が起きやすくなります。
たとえばこんなことはよくあるかもしれません。
猫は飼い主が大好きです。
抱っこ好きの猫なら飼い主の膝は最高の場所。
飼い主になでられながらゆったりくつろぎ眠る、
これは飼い猫にとって至福の時です。
多頭飼いになると飼い主の膝の奪い合いが起きます。
猫は独占欲が強く自分だけが飼い主にかわいがってもらいたいのです。
年が近い猫同士なら早い者勝ち、または奪い合いとなります。
他の猫が飼い主にくっついて甘えているとそこに割り込み、
他の猫をなめてあげながら徐々に追い出していき、
自分が飼い主の膝に収まる。
あるいは即実力行使で、
バシッと猫パンチで追い出すというパターンもあります。
また、よくある光景は、
飼い主がパソコンやテレビ、雑誌に夢中になっていて
自分がなおざりにされていると感じると邪魔しに来る。
飼い主が広げている新聞や雑誌の上に座ったり、
キーボードの上に来たりして、飼い主の注意を自分に向けようとする。
これも猫のやきもちなのです。
新たな猫を入れ多頭飼育する際の留意点
猫を2匹目3匹目と入れて多頭飼育にしたい場合は
先住猫がやきもちをやかないよう慎重に進めることが大切です。
とくに子猫を迎え入れるときは先住猫の性格を考え、
何事も先住猫を第一にするようにします。
子猫と大人猫だと、
食事タイムやおやつをもらうとき、まだ分別のない子猫が有利。
子猫は待ったなしでグイグイ食べに行きますが、
待つことのできる大人猫は遠慮して身を引きます。
子猫に順番を教えるには辛抱強さが必要で、
繰り返し繰り返し教えることで徐々に覚えていくものです。
先住猫が若いメスで母性本能が強ければ、
意外と早く子猫を受け入れ、親子のように仲良くなれます。
でも年齢差がありすぎると難しくなるのは人間と同じ。
高齢者には元気な子供はうるさくて付き合いきれませんから。
メス同士、オス同士、オスとメス、
いずれにしても年齢と相性を考えるのが良さそうです。
猫には社会性があり序列を意識しています。
多頭飼育の場合、年数の長い猫の方が上位で若くて年数の短い猫は下位。
しかし猫にも十人十色の個性があります。
中には無遠慮に序列を無視する猫がいたり
どうしても相性の合わない猫が現れたりして、
頭数が増えるにつれて問題が起きやすくなります。
飼い主は猫たちの性格や状況をよく観察しながら管理していかなければなりません。
猫がやきもちをやいたとわかる実例
※ 多頭飼いの家では猫のやきもちはしばしば見られます。
そこでの序列が自分は下位とわかっている猫が、
上位の猫がかわいがられているのを上目遣いにじっと見ている様子。
飼い主の愛情を独り占めしている猫にやきもちをやいているのです。
その猫がいるところでは飼い主に構ってもらうことはできないので、
いないところでかわいがってもらおうとします。
それでも飼い主が振り向いてくれないと
やったことのない粗相など何か悪さをするかもしれません。
この場合飼い主の不公平な対応があるのでしょう。
猫たちには等しく愛情を注ぐようにしてほしいですね。
※ 猫同士だけでなく、人がやきもちの対象になることもあります。
* 飼い主との絆が強すぎていつも飼い主にくっついていたい猫は、
どこへでも飼い主を追いかけていきます。
飼い主が自分をおいて誰か別の人の部屋に行くと
追いかけてきて「帰ろうよ」と廊下で声をかける。
ドアが開いていても部屋に入ることはしません。
話している相手が家族であっても
自分以外の対象に飼い主を取られたくないのです。
これほどやきもちやきの猫には飼い主も困ってしまいます。
* 若夫婦2人と猫一匹の家庭に赤ちゃんが誕生すると、
すべてが赤ちゃん中心の生活に変わります。
猫はかまってもらえず寂しくなりますが、
赤ちゃんに対して勝ち目がないことはわかっているのでじっと我慢。
寂しさに耐えている様子がにじみ出ているのを飼い主は察知。
2匹目の猫を迎えることにしました。
相性の合う子猫が来て猫は大喜び。
やはり猫には仲間が必要なのです。
猫のやきもちゆえの問題行動に対処するには
猫がやきもちをやいているのに飼い主が気付かずにいると
問題行動を起こす場合があります。
猫は自分をアピールするために飼い主を困らせようとするのです。
トイレではないところに粗相したり、
飼い主の留守中に部屋中を荒らしたり。
あるいは猫自身がストレスで食欲が落ち、
体調を崩す場合もあります。
過剰なグルーミングのせいで
お腹の毛がすっかりはげてしまった猫もいます。
これらを放っておくわけにはいきません。
対処法としては、
まず猫の気持ちを思いやることから始めます。
やきもち猫は飼い主を独り占めしたい、
自分だけに愛情を注いでほしいのです。
ですので、とにかくその猫に構ってあげることが大切。
今まで以上になでたり抱っこしたり、おもちゃで遊んであげたり、
スキンシップの時間を意識的にとりましょう。
「○○ちゃん、かわいいね~」
「○○ちゃん、いい子だね」
「大事な○○ちゃん、大好きだよ」
などと語りかけながらスキンシップするとより効果的。
やきもち猫は自分と飼い主だけの時間に満足して、
徐々に改善に向かうことでしょう。