スポンサーリンク

猫パルボ このウィルスに感染すると恐い!

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

パルボが恐い

パルボに気をつけてほしいという話をすると、
パルボって何?と反応する人がいます。

猫を飼っていても知らない人が多く、
意外と無防備なのです。

こんなに恐い感染症を気に留めないなんて・・

ボランティアとしてはぜひとも知ってほしいことであり、
しっかり対策してほしいことなのです。

では
猫パルボとはどのような病気なのか、
詳しい情報と共に私の2度の経験を通して
知っていただければと思います。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

猫パルボとはどんな病気か

“猫パルボ”は正式には“汎白血球減少症”という病名。

パルボウィルスによる感染症で
白血球が異常に減少し、非常に致死率の高い病気です。

接触感染なのですが、感染源を特定するのは難しいのが現状。

感染した猫の唾液・鼻水・嘔吐物・糞便などに
ウィルスが混じっていて、

体外に排出されたウィルスは生命力が強く
その場所で数ヶ月から1年ほど生存すると言われています。

野良猫の場合どこにどうウィルスを撒き散らしたかわかりません。

外出した飼い猫がそこを通ればウィルスが付着。

飼い主がそこを歩いて靴底にウィルスを付けて帰宅。

人なつこい猫だと思って触ったり抱っこしたりして
飼い主がウィルスを持ち帰るという例も。

外出先の扉や手すりにもウィルスが付着しているかもしれません。

いろんなパターンが起こり得るので、
猫を飼っている人は注意深くなければなりません。

よその猫、とくに外猫にはむやみに触らない。
帰宅したら必ず手洗い消毒する。

これは自宅の猫を守るためにぜひとも必要な対策です。

多くの飼い猫は年1回のワクチン接種で守られています。

基本的な3種混合ワクチンは
パルボ・鼻気管炎・猫風邪を予防するものですから。

しかし
体力が落ちている猫や保護したての子猫は感染の危険があります。

万が一感染した場合、約2週間の潜伏期間を経て、
発熱や嘔吐、下痢、食欲減退などの症状が現れます。

中には下痢しない猫もいるのですが、
検査キットで診断できます。

パルボウィルスに直接効く薬はないので、
治療は症状を抑える対症療法しかなくて、

もしワクチン接種をしていなければ
1週間ほどで死に至る恐い病気です。

ですので
猫を飼っている人が外で子猫を保護した場合、
すぐに病院でパルボ検査をした方が安全です。

でなければ2週間の隔離期間を設けて、
先住猫と合わせるのはその後にしましょう。

 

子猫たちを助けられず無力感に打ちのめされた経験

ボランティアとして駆け出しの頃の
悲しい経験は未だに忘れられません。

初めて関わったボランティア団体の手伝いで、
ある日保健所から子猫たちを引き出しました。

ダンボール箱に入れられた小さな子猫たちは、
当初はみんな元気そうな声を張り上げていました。

しかし
ひとりのスタッフ宅で預かるも、
その夜、1匹弱っているという連絡が入ります。

翌日病院に連れて行ったところ、
猫パルボに感染しているという診断。

その子猫は当日中に死亡。

団体の代表は即座に残りの子猫たちの安楽死を決断。

新米の私はパルボのことがよくわからず、
なぜ治療もせずに安楽死なのかと訴えました。

パルボは感染力が強く、すでに全員感染しているはず、
苦しみつつ死んでいくよりも、安楽死させる方が猫のため、

ほかの多くの猫を守るためにもそうするしかない、
という説明を聞いても気持ちが収まりません。

しかし、結局子猫たちは病院で安楽死させられました。

子猫たちを預かっていたスタッフは
待合室で待っていましたが、

子猫たちの鳴き声が一匹づつ聞こえなくなっていくのが耐えきれず
病院を飛び出しました。

あまりにも哀れな子猫たちの運命、
全く助けになれない無力感、

泣き叫びたい思いをこらえ、
とめどなく流れる涙を何度も拭い、

誰も一言も発することなく時間が流れ、
とうとう子猫の声は全く聞こえなくなりました。

あれから何年経っても忘れることができない辛い経験です。

スポンサーリンク

 

パルボに勝った2ヶ月に及ぶ闘い

それから数年後
別なボランティア団体に参加していた時のこと、
ある相談者から依頼がありました。

庭で増えてしまった猫たちの捕獲&避妊去勢、
そして子猫たちの里親募集をしたいとのこと。

大人猫4匹、2ヶ月超くらいの子猫4匹。

しばらくの間の保護場所を設けて、順繰りに捕獲して病院へ。

全員をケージに収容できて、
順調に計画を進められそうでした。

ところが、
ある朝、1匹の雄猫が具合悪そうです。
全然食欲がなく、ほとんど動きません。

そして翌朝死んでいました。

下痢はしていませんでしたが、
便を調べた結果パルボ陽性でした。

パルボ!!

パルボの恐さを思い出し、子猫たちのことを考えました。

安楽死させなければならないのか・・?

するとボランティア団体の代表は、
子猫たちはある程度大きいし、ほかの大人猫は発症していない、
すぐに治療を始めれば助かる、と言うのです。

助かる?

・・・助けたい!

相談者の人も助けたいと言うので、
できる限りのことをしようということになりました。

ボランティアスタッフは皆複数の猫を抱えているので、
感染を広げないため担当するのは2名だけと決める。

かかりつけの病院に相談して必要な薬剤を準備。

病院もパルボウィルスが入ると困るので、
猫を連れて行くことはできません。

1週間分の薬剤を持ち帰り、
2名のスタッフが猫たちに注射します。

補液にビタミン剤・抗生剤・吐き気止め、
そしてインターフェロン・・
これを3日連続、

そして1回の捨てワクチン。

治療は朝にして、夜はエサと水の補充。

子猫たちをかまってあげる余裕はなかったのですが、
当人たちも恐さと具合の悪さからか箱に隠れています。

もちろん担当スタッフも自宅の猫たちを保護するため
万全の注意を払わなければなりません。

防護用の使い捨てエプロン・ゴム手袋・ヘアキャップ
を着用して作業します。

エサ・水・トイレの世話の後
ウィルス除去の消毒薬で隔離棟すべてを清掃。

帰る時には靴底を消毒液に浸し、
車の中でも消毒薬を散布。

帰宅したら、家に上がる前に玄関で消毒。

お風呂場に直行してシャワーで全身洗い、
洋服を着替えてから自宅の猫にさわる。

自宅の猫たちはワクチンを打っているものの、
病気や高齢の猫もいるので心配です。

毎日気を張り詰めてこれを続けました。

1週目はほとんどの猫がエサを食べ残し、
全く食べない猫もいました。

翌週も同様のことを行ない、
猫たちの様子を見ると徐々に食欲が出てきている感じ。

最も危なく見えた子猫も食べる量が増えました。

うれしくなって美味しそうなものをどんどん与えます。

みんな助かる!
そんな予感がしました。

3週目はエサやトイレの世話だけで薬は無し。

しっかり食べて元気が出てきたので、
子猫たちも猫じゃらしで遊ぶ余裕が出てきました。

そしてさらに1週間経過した後パルボ検査をすると
全員陰性でした。

やった!

思わず声を上げた瞬間です。

とはいえ、すぐにほかの猫と一緒にはできず、
さらに2週間待機しなければなりません。

被毛にまだウィルスが残っているかもしれないのです。

全身洗い流すのは無理だったので、
除菌用ウェットタオルで何度も拭きました。

その期間中、猫たちが居た庭にハイター薄め液をふりまいて消毒。
パルボウィルスを退治したような気分です。

その後、
大人猫は不妊手術を施して相談者宅に戻し、
子猫たちは里親募集をして全員引き取られました。

パルボと出会った最初のときと違って
今回はパルボに勝った喜びと達成感がありました。

以上
経験談が長くなってしまいましたが、
猫パルボウィルスの恐さを知っていただけたでしょうか?

因みに猫パルボは猫の間だけで感染するもので、
人や犬には感染しませんので、
過剰に恐れる必要はありません。

毎年ワクチンを接種すること、
パルボウィルスを持ち帰らないよう気をつけること等

常に愛猫を守るための行動を意識していただければと思います。

タイトルとURLをコピーしました