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野良猫が出産したとわかり、
その場所を探し出して子猫を保護したいと言う人がいます。
猫ボランティアも同じ考えです。
子猫たちは里親に出して幸せになってほしいからです。
うまく保護するために予備知識を取り入れておきましょう。
そしてボランティアのやり方をご紹介しますので、
参考にしていただければと思います。
野良猫が出産する時期と回数、匹数は?
野良猫は発情期に交尾すると100%妊娠します。
そして妊娠期間2ヶ月で出産です。
産む頭数は平均3匹から多くて8匹。
母猫の乳首が平均6~8個なので、
大抵は吸い付く子猫たちに間に合うことになっています。
まれに数が足りないと全頭育てられないという事態も
あるということです。
授乳する子育ての期間は2ヶ月から3ヶ月、
離乳して子猫が独り立ちすると母猫は次の出産の準備。
妊娠から子育て終了までの期間は平均4、5ヶ月なので、
野良猫は1年間に2、3回出産できることになります。
なんと早すぎるサイクル、
野良猫の繁殖力はねずみ算並み!
野良猫の繁殖期は春がピーク、
暖かく過ごしやすい環境で出産&育児ができるからです。
でも個体差があり、春や秋に出産する猫が多いものの、
異常気象で季節感がわからなくなった最近は
冬に出産する事例も見られるようです。
野良猫の出産場所は不特定で発見が困難
野良猫は誰にも邪魔されない場所で出産します。
ですので場所はその都度いろんな所です。
エサをもらっている家の庭の片隅、
入る隙間のある物置の中、
放置されたダンボール箱、
ガラクタが山積みの廃屋、
野良猫はとにかく出産場所をうまく見つけるようです。
驚いた経験としては、
借家住まいの知人の家の押入れの中で出産したこと。
知人は一人暮らしで留守であることが多く、
男性ゆえか戸締まりも少々緩め。
野良猫は人が住んでいないと思ったのか、
いつの間にか押入れで子猫を産んでいたのです。
知人は真夜中に微かな子猫の鳴き声で目を覚まし、
押入れの中の親子を発見、とても驚いたそう。
追い出すのは可哀想なのでしばらくそっとしておくことに。
でも翌日母猫は子猫たちを連れて
どこかに移動してしまいました。
知人は干渉しないよう気をつけていたのですが、
母猫は人の気配がある場所は危険だと判断したのでしょう。
エサをあげている人が産まれた子猫を保護しようと思う場合、
そのタイミングが難しいことがあります。
大きなお腹だった母猫が
出産してペタンコのお腹になってエサを食べに来る。
出産場所は近くだろうと思って探すエサやりさん。
しかしそう簡単には見つかりません。
母猫がエサを食べに来た時、
そっと後をつけようと思っても大抵途中で見失います。
運良く出産場所を探し当てたとして、
頻繁に覗き込んではいけません。
干渉しすぎると母猫は脅威を感じて別の場所に移動します。
母猫は子猫たちを守るために何度でも引っ越しするのです。
ある程度場所を把握できたらむやみに覗き込もうとせず
しばらくはそっと見守ることにしておきましょう。
子猫を育てるには母乳が一番なので、
母猫にまかせておくことが最善です。
ただ子猫は天敵に狙われることが多いので、
注意を怠らないことが大切。
もし母猫がおとなしい性格なら、
できれば親子共々保護する方が安心です。
生後1ヶ月ほどになると子猫は動き出すようになります。
チョロチョロ動き回ると天敵の目につきやすくなるので
この頃に保護を計画します。
子猫たちの居場所がわからない場合は、
母猫が連れてくるまで待つしかないのですが、
子猫は大体1ヶ月半くらいになっているでしょう。
この頃には素手で捕まえようとしても
思いの外動きが早く、すばしっこく逃げていきます。
保護するには捕獲器が必要となるでしょう。
野良猫の出産後、子猫が歩くようになったら保護
子猫が生後1ヶ月から1ヶ月半の頃に保護できれば
無理なく人馴れさせられます。
譲渡会に参加させるには人馴れが必須条件ですので、
ボランティアはこの時期に子猫を保護したいと考えます。
親子の居場所がわかっているなら保護は簡単、
母猫が留守の間にまず子猫たちを保護。
その後母猫を捕獲して、1~2週間おいてから避妊手術。
母猫が人懐こいなら母猫も譲渡会に参加させます。
親子の隠れ場所がわからず、
子猫を連れ歩くようになってからの保護は少し難しい。
親子ともに捕獲器で保護することになりますが、
少々工夫が必要で数日がかりとなる場合もあり。
なるべく早く保護したいと思う理由は
のんびり構えているうちに子猫の数が減ってしまうからです。
産まれた子猫の数は4、5匹だったかもしれませんが、
連れてくるのは2、3匹であることが多いもの。
野良猫は多産多死と言われ、全頭は育たないのです。
虚弱でおっぱいを吸う力が弱い子は母猫に捨てられます、
母猫は本能的に生きられないとわかるようです。
そして天敵のハクビシンやカラス。
無力な子猫は見つかったらあっという間に餌食に。
母猫がそばにいたとしても防ぎきれません。
野良の子猫の命は風前の灯なのです。
それが自然の摂理と言う人もいるでしょう。
でもボランティアはそれに得心できません。
無力で哀れな、小さな命を救いたいと思うのです。
猫は本を正せば「ネコ科ーネコ属ーイエネコ」という
学識名の分類。そこに野良猫という言葉はありません。
「野良猫」とは人間が作り出したものであり、
野生動物ではありません。
(ヤマネコやスナネコは野生動物です)
イエネコとは家畜であることを示すわけで、
つまり猫は人と暮らすものなのです。
今の世の中、子猫が生き延びて大人になっても
交通事故や感染症など野良で生きていくには厳しすぎる世界。
できれば本来の“家猫”として
人と暮らせるようになってほしいというのが
ボランティアの願いなのです。