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猫にも便秘ってあるの?と疑問を呈する人がいます。
四つ足動物は便秘しないと言うのです。
いいえ、むしろ猫の便秘は意外と多いのです。
気付きにくいのですが本人は苦しんでいるかもしれません。
病気ではないと安易に考えないでください。
治療しないと大変なことになる場合もあるのです。
でもその前に様子観察した上での対処法がありますのでご安心を。
では猫が便秘になる原因と対処法と共に
実際に便秘で苦しんでいる猫たちの実例をご紹介します。
猫が便秘かどうか様子観察は大事
人間も便秘が続くと食欲が落ちたり吐き気がしたり、
他人にはわからない苦しみがあります。
猫も同じで、エサを食べなくなり、嘔吐してしまう猫もいます。
食べてないので泡状の胃液、これは本人つらいです。
食べない理由がわからない飼い主は、
いろいろ目先を変えたエサを置いてみたりしますね。
どうしても食べてくれないと病院へ行くしかありません。
でもその前に猫の様子を観察してみましょう。
食欲の問題以前にトイレの問題があるのかもしれません。
トイレの前を行ったり来たり、
なきながらうろついたりしていませんか?
トイレに入りたい様子なのに・・
おしっこなのかウンチなのか・・
尿管結石や膀胱炎の時と似ているかもしれません。
そちらだとすると中で一応おしっこ体勢になり、
出てきて間もなくまた入って、ということを繰り返すでしょう。
似ていますがおしっことウンチでは体勢が微妙に違いますよね。
いつも猫がトイレに入る様子を観察するとわかると思います。
我が家にはわかりやすい猫が2匹います。
どちらもおしっこの時は静かにトイレに入って済ませるのですが、
ウンチの時は明らかに違うのです。
1匹はトイレに入る前になぜかなきながら行ったり来たり。
人間の子供が「ウンチ~」と訴えているみたいです。
もう1匹は目いっぱい砂をかき分けて、
終わったあと全力で走り回ります。
こんな行動の猫、意外と多いのではないでしょうか?
変わった行動だとしてもちゃんと排泄できているのであれば
問題はありません。
でも出せなくて困っている場合は飼い主が
対処してあげる必要があります。
まずは便秘の原因を考えましょう。
原因がわかれば対処できるというものです。
便秘の原因に応じた対処法
食欲と排泄は健康のバロメーター。
飼い主さんは毎日排泄物を確認していると思います。
ウンチが出ていない状態が3日続いたら明らかに便秘。
対処しなければなりません。
便秘の原因を考えてみると対処法も見えてきます。
●水分不足・・普通猫は意外と水を飲むものです。
でも中にはあまり水を飲まない猫もいます。
とくに野良生活をしていた保護猫の場合、飲みたいときにすぐ飲める状態になかったことが習慣化してしまったのかもしれません。
しかし水分不足が続くと便が固くなって便秘の原因となります。
いつでも新鮮な水を飲めるように水入れを複数置いてあげましょう。
早急な対応策としては ↓
※エサを水分のとれるウェットフードに変えてみる。
(通常エサはドライフードがおすすめ)
※獣医師と相談して、便を軟らかくする油分を飲ませる。
病院で出すモニラックのほか、亜麻仁油・オリーブオイルも可。
●運動不足・・子猫や若い猫は思いっきり遊んで運動しますが、
猫も大人になるとあまり運動しなくなりますね。
とくに中高年になると寝てばかりいてかなり運動不足。
腸が動かなければ便秘になりやすいです。
積極的に猫じゃらし等で遊んであげましょう。
スキンシップとりながらお腹をマッサージするのも効果的です。
●トイレストレス・・トイレが何か気に入らないことがないでしょうか?
トイレ砂の種類はどうか、きれいに交換されているか、数は十分か、置き場所はどうか、使う側の身になって考えてみましょう。
●毛を多く飲み込む・・長毛種に限らず、猫はグルーミングの際少なからず毛を飲み込みます。
飲み込む量が多いと胃から毛玉として吐き出しますね。
でも腸まで行った分は便を固めがちです。
エサを毛玉対策用にしてみるのも良いですし、
猫草を与えてできるだけ吐き出させるのもありです。
●おもちゃなど異物を誤飲してしまった場合は、
動物病院へ行くのが最善。
エコーやレントゲンで調べて治療してもらいます。
また腸や肛門の炎症によって排便時に痛みがあるため、
排便を嫌がる結果便が固くなってしまうことがあります。
そういう場合も動物病院での治療が必要です。
動物病院での便秘の治療法としては
まず緩下剤、出なければ浣腸、または摘便。
いずれも猫にとって楽なことではありません。
自宅で対処できるならその方が良いので、
猫が便秘症であるなら普段から上記対策を講じたり、
高繊維質のフードや腸に良いサプリを試してみるのも良いと思います。
便秘のまま長期間放っておくとすっかり固まって、
最悪の場合腸ごと切除手術という事例もあるそうです。
そんなことにはなりたくないので、
軽い便秘のうちに対処したいものです。
ただし注意していただきたいのは
人間用の便秘薬や浣腸を使うのは厳禁であること。
勝手な判断で人間用の薬剤を用いるのは危険です。
あくまでも猫には猫用で対応しましょう。
便秘で苦しんでいる猫たちの実例
実際に便秘で苦しんでいる猫たちをご紹介します。
★生まれつき巨大結腸で肛門不全の猫。
母猫が母乳で育てている間はわからなかったのですが、
離乳し自力排泄する頃から異常であることがわかりました。
ほかの子猫たちと肛門の形状が違います。
常に少し開いている感じです。
そして時々部屋の中に、小さなウンチのかけらが落ちています。
ポタポタとおしっこの水滴も落ちています。
その子猫はトイレでちょっとだけ体勢をとりますが、
実際に排泄はしていませんでした。
生まれつき肛門の形状が不全であるだけでなく、
排泄に係る神経が異常なのかもしれません。
本人の意思による排泄ではなく、
溜まってくると少しづつこぼれてしまうような状態。
獣医師によれば、巨大結腸の手術をすれば排泄しやすいとのことで、
手術してもらいました。
しかし、やはり自力で排泄はできませんでした。
元気に遊びまわる子猫たちの部屋には、
ポツリポツリと排泄物が落ちています。
小さな手作りオムツをはかせることになりました。
そして毎日お尻を洗うことに。
しかし
便が軟らかすぎるとお尻は相当汚れています。
固いと出口で塞がってしまい、
病院で出してもらうしかありません。
この子猫の成長期はこのような不安定な状態が続いて大変でした。
やがて獣医師の指導により腹部圧迫による排泄のコツを覚え、
自宅でもできるようになりました。
でも便が適度な軟らかさの時は良いのですが、
固い便秘だと出すのもひと苦労。
出口部分はゴム手袋の指である程度摘便し、
後半部分を圧迫で押し出し。
もはやこの子の排泄物は汚物には見えなくなりました。
成長と共にオムツも大きくなり、
今では人間の赤ちゃん用オムツを使っています。
便の状態を安定させるためにモニラックを飲ませ、
エサは消化器サポート可溶性繊維を混ぜて・・
膀胱炎になるなど紆余曲折ありましたが、
定期的に病院受診しつつ管理してきて、
この子は今年5歳になりました。
★交通事故で骨盤骨折、下半身不随の猫
ある日ボランティアスタッフが猫の交通事故を目撃。
保護して病院へ運んだのはオスの成猫でした。
入院治療を受けさせましたが、
骨盤骨折で下半身不随となってしまいました。
スタッフは一生面倒を見るつもりで引き取り、
ずっと世話し続けています。
下半身不随でも元気で食欲があり、
すっかりスタッフになじんで甘えるようになったとのこと。
しかし、排泄に関しては多少厄介。
居場所にはペットシートを敷き詰めており、
おしっこウンチがされていればシート交換。
でもほとんど運動しない状態は便秘を引き起こします。
そのうえ事故による骨盤内腔の狭窄があるらしく、便秘が悪化。
時折ウンチが出ていない日が続くと摘便しなければなりません。
浣腸はお腹が痛くなりますし、
結果の下痢で居場所がとんでもないことになるからです。
この猫は神経は正常で尿意便意はあるようです。
その場合腸を圧迫して排泄させるのは難しくなります。
押し出そうとすると嫌がってお腹に力を入れ、
パンパンに張って押されまいとするからです。
というわけでこの猫には摘便で対処しています。
以上のような例は稀かもしれませんが、
便秘というものは猫本人も苦しく飼い主も苦労なのです。
意外と多いのに見過ごされやすい猫の便秘、
飼い主の方には少し意識して猫を見ていただきたいと思います。