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猫の譲渡会における里親になるための条件は、
ボランティア団体ごとに若干異なりますが、
厳しすぎると苦情を述べる人がいます。
猫の里親になるための条件と手順はどのようなものか、
参考となる実例でご紹介します。
そして、なぜ厳しい条件になるのか
その理由をぜひ知っていただきたいと思います。
猫の譲渡会、里親になるための条件と手順
猫の譲渡会はボランティア団体や自治体保健所などが主催したり、
猫ボランティアが個人で開催したり様々にあります。
猫の里親募集のサイトやSNSも増えており、
猫を飼いたいと思う人が好きな猫を探すのに困らない現況というか、
むしろ情報が溢れ過ぎている感があるようです。
猫の譲渡会で里親になるには次のような段階があります。
まず、猫を飼いたい人は譲渡会に出向いて、
参加している猫たちの中からお気に入りを見つけて
里親希望の申込をします。
その際、里親になるための条件が提示されていますので、
自分がその全てをクリアしていることを確認しなければなりません。
参考までに私たちのボランティアグループが提示している
里親になるための条件は ↓
・終生愛情を持って大切に飼ってくださる方
・完全室内飼いで、脱走防止対策をしてくださる方
・ペット飼育可能なお家であること
(ペット禁止の賃貸は不可)
・家族全員が猫を飼うことに賛成していること
・猫の体調が悪い時は医療にかけ、
毎年のワクチン接種も欠かさない方
・子猫の場合、適正時期に必ず不妊手術をしてくださる方
・ご家族に猫アレルギーの人がいないこと
(心配な方は事前に検査をお薦めします)
・ご家族全員が精神・身体共に健康であること
(軽度の持病で服薬している場合は大丈夫)
・アンケートにご協力してくださる方
(申込書がアンケート形式)
・ご自宅への家庭訪問にご協力いただける方
(事前の訪問で飼育環境やご家族の確認)
・その猫にかけた医療費の一部をご負担いただける方
(正式譲渡の際の譲渡金)
・男性の一人暮らし・同棲中・無職・学生の方、
高齢者だけの世帯は、すみませんがご遠慮願います
・同時に他の譲渡会やサイトでも応募されてる方はご遠慮願います
結構細かいようですがこれ以上の条件を提示するところもあるのです。
たとえば、勤務先の社名・住所・電話番号、
身分証明書、年収と源泉徴収票のコピー、
ここまで個人情報を提出するのはちょっと不安になりますよね。
さらには、銀行預金残高証明、不動産登記簿となると
同じボランティアでもやり過ぎではないかと思いますが・・
そして、しっかり面談をした後申込書を記入していただいたら
譲渡までの手順をご説明し、家庭訪問の日時をお約束。
面談の時点で家族構成や住居の様式、
エアコンの有無等は確認済みですので、
家庭訪問で重視するのは脱走防止できるかどうか、
ご家族全員が猫好きかどうかです。
家庭訪問でOKとなればいよいよ
猫を連れて行ってトライアル開始。
トライアルは約2週間、
猫が新たな環境に順応するのを見極める期間です。
先住猫がいれば両者の相性が合うかどうか、
ご家族との相性はどうか、それらが重要なポイント。
そして、トライアル期間が終わり、
そのまま猫を家族に迎えたいという意向であれば
正式譲渡となります。
猫の里親になる条件が厳しい理由
上記の、猫の里親になるための条件を見て
厳しすぎると感じる人は多いようです。
ネット上ではそのことでの苦情が多く見られます。
* 源泉徴収票と身分証明書のコピーまでたくさんの個人情報を
提示させたあげく、家族に高齢者がいるからと結局断られた。
こんなだからペットショップで購入する人が減らないのでは?
* 保護活動家は頭がおかしい。自分たちが正しいとばかり上から目線、
偉そうな口の聞き方で何様かと思う。
* サイトを見ると条件が厳しくて、自分には譲渡してもらえないと思い、
ペットショップに向かった。不快な思いをせずに販売してもらえる。
たしかに、譲渡会で厳しい条件を突きつけられて嫌な思いをするより
ペットショップから猫を購入した方が楽かもしれません。
しかし、猫ボランティアとしては
里親になる条件を厳しくせざるをえない理由があるのです。
・ブームにのって甘い考えで猫を飼いたいという人は、
いざ飼ってみると結構世話が大変で、
面倒になり遺棄してしまう人がいる。
・動物実験施設やペットショップなどに転売する目的で
猫をほしがる人がいる。
・動物虐待愛好家(?)とネット上で呼ばれるたぐいの人がいる。
彼らは虐待するために猫をほしがる。
猫ボランティアはこのような人たちに決して
猫を譲渡してはいけないと、警戒を強めてしまうのです。
動物虐待事件が時折ニュースになることは皆さんご存知と思います。
動物愛護法が改正され罰則が強化されてもなお
虐待事件は発生しています。
猫ボランティアは、犠牲になる猫が出ませんようにと
祈るような気持ちで活動しているのです。
私たちも数年前こんな経験をしました。
譲渡会で猫を譲り受けようとする里親詐欺に要注意!
という注意喚起の情報が回されました。
その男はいくつかの譲渡会に現れたそうですが、
すでに虐待者だということが知られていたようです。
しかしその後 それに関する情報が聞かれなくなりました。
厳しいボランティア団体から譲り受けるのは不可能と諦め、
来なくなったのでしょうか?
もしかすると、疑うことを知らない個人から
譲渡してもらうことにしたのかもしれません。
個人での安易な譲渡は危険であることを知らせたいものです。
実際、あるボランティア団体がまんまと騙されて猫を譲渡し、
気づいて返却を求めたときには手遅れだったという話もあります。
猫などを虐待した人物がやがて人間に矛先を向けるようになる
ケースはよく知られているのではないでしょうか。
多くの里親さんは猫をやさしく大切にしてくださいますが、
影に隠れている虐待者が存在するのは事実。
猫ボランティアが譲渡に慎重すぎるのはそのような理由が
頭から離れないからです。
猫ボランティアは猫を守りたい、猫を幸せにしたいがゆえに
厳しい譲渡条件を提示しているのです。
その心情をご理解いただきたく思います。
また、猫を譲渡したい個人ボランティアの方々には
譲渡はよく相手を見極めるなど慎重を期していただきたいと思います。