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猫のTNR活動は野良猫対策として有効か

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

猫のTNR

猫のTNR活動がどのように行われるかご存知でしょうか?
その目的は野良猫を減らし、殺処分を減らすこと。

TNRは野良猫対策として効果がないという説もありますが、
実際のところどうなのか検証します。

またボランティアが臨機応変に実施するTNAについても
ご紹介します。

 

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猫のTNRとは?野良猫対策に効果あるかないかの検証

猫の“TNR”、耳にすることが増えていると思いますが、
どんな意味かご存知でしょうか?

主に猫ボランティアが行なう活動の1つで、
次の言葉の頭文字から取られています。

T→Trap(捕獲し)
N→Neuter(不妊手術して)
R→Return(元に戻す)

大抵捕獲器を用いて外猫を捕獲し、
メスなら避妊、オスなら去勢という不妊手術を施し、
耳先にVカット(さくら耳とも言う)を入れて、元の場所に戻す。

その後は地域の人の理解を得てエサを与えながら見守り、
一代限りの命を全うさせる。

つまり、野良猫を増やさないための手段。

野良猫に関する苦情を減らし、
殺処分される猫の数を減らすために行なうのです。

具体的なメリットは↓

・発情のうるさい鳴き声がなくなる
・猫同士のケンカが減る
・オスはマーキングしなくなったり、おしっこ臭も軽減
・エサ場とトイレの管理がされれば近隣の苦情が減る
・一代限りなので野良猫が徐々に減っていく
・死にそうな子猫に出会わなくてすむ
・猫にとって重大な病気の予防になる
(子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、精巣癌など)

 

しかしながら
TNRは野良猫を減らすのに効果がないという説もあります。

アメリカでは、「猫を減らす効果がない」と
TNRに反対する団体もあるそうです。

日本では、伊豆諸島御蔵島で約5年間TNRを実施したものの、
むしろ猫の総数が増えていたという結果に。

TNRは野良猫を減らすために行なうのに
なぜそのような結果になるのでしょうか?

地域の野良猫を完全に把握することはできない
という難しさがあります。

全頭捕獲して手術することはほとんど不可能。
必ず取りこぼしが出るのです。

一時的に野良猫の数が減ったかに見えても、
じつは縄張りを移動する野良猫たちが存在し、
さらにそこに捨て猫も加わることになります。

すると未手術の猫たちが繁殖を繰り返し、
以前と変わらない状況になる、という具合。

結局いかに多くの野良猫を不妊手術しても
ただ単に元に戻すとそうなるのです。

手術して戻した猫たちをきちんと把握しておき、
エサ場やトイレの掃除も含めてその後の管理をすることが必要。

そうでなければ手術済と未手術の猫たちが入り混じって
わけのわからない状況になります。

見分ける印のさくら耳は遠目では見えにくく、
似たような柄、素早い動きの猫たち、
最初からしっかり把握していないと管理しきれません。

 

では、野良猫は放っておけば自然に増えたり減ったりする、
と主張する人たちが正しいのでしょうか?

いいえ
少なくともTNRを実施した期間は猫の殺処分が減るのです。

でも中途半端にやめればすぐ元に戻ります、
それは猫の驚異的な繁殖力を考えればわかりますが。

 

ボランティアの努力を無にする“捨て猫”も
事態を混乱させています。

飼い猫(子猫含む)を捨てる人たちは
多くの場合不妊手術を施していません。

その人たちは「遺棄虐待は犯罪」という愛護法など知りませんし、
そんな法律は通用しません。

捨て猫がいなければ状況は異なってくるのですが。

つまり、
飼い猫を不妊手術すること、
飼い猫を決して捨てないこと。

それを徹底すれば野良猫の増加はかなり防げるのです。

現状では未手術の捨て猫や放し飼いの猫によって野良猫が繁殖し、
TNRの効果を減殺しているような気がしてなりません。

TNRした猫

猫のTNRは地域猫活動の最初の段階

TNRは、最終的に元の場所に戻した猫を
地域猫として見守るわけですので、
TNRの延長上にあるのが“地域猫活動”。

地域猫とは、特定の飼い主のいない猫に不妊手術を施し
地域の人々の理解と協力を得て適切に管理していくもの。

飼い主のいない外猫という点では野良猫と同じですが、
エサ場やトイレが設置されて地域の方々が面倒を見るので、
野良猫より恵まれていると言えます。

地域の中には猫好きな人もいれば猫嫌いな人もいるので、
いつもうまくいくとは限りませんが、

どちらの人も野良猫問題で困るのは同じなので、
それを解決するために手を組むことは可能でしょう。

地域猫活動を推進する人は猫嫌いな人の心情に配慮して
地域の人が皆快適に過ごせるような取り決めを設けることが肝要です。

最近は多くの地方自治体が地域猫活動を推奨しています。
積極的に地域の方々に提案してみましょう。

 

しかし
TNRと地域猫活動その一連の作業には費用がかかります。
とくに不妊手術を行なう病院代が課題。

一般に動物病院の不妊手術代は高額で、
ボランティアにとっては大きな負担。

日本動物愛護協会やどうぶつ基金などの公益財団法人、
または地方自治体が行なうTNR補助制度は限度額が決まっており、

ボランティアが活用するにはまだまだ不足、
なんとか協力的な動物病院を探して自腹を切ってやるのが現状です。

 

ちなみに
野良猫の不妊手術を専門とする動物病院“スペイクリニック”なら
一般の動物病院より格安で手術できます。

アメリカでは営利・非営利ともに数多くあるそうですが、
普及し始めたばかりの日本ではまだわずかな数しかありません。

身近な地域でも見つけられるように広まってほしいものです。

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TNRとTNAを臨機応変に実施する猫ボランティア

猫ボランティアは保護した野良猫すべてを
TNRするわけではありません。

前述の通り野良猫の中には捨て猫もいます。
捨て猫とは元飼い猫、つまり人と暮らしていたので
人なつこい猫が多いのです。

それは捕獲した時や手術後数日の静養期間の、
妙におとなしかったり、人を恐れない様子などからわかります。

純粋の野良猫は人を恐れ、人が近づくと素早く逃げます。
捕獲器の中で逃げようと暴れたり、激しくシャーッ!と威嚇したり、
人と暮らすのはとても難しそうです。

でも元飼い猫は人に触られることに慣れていたり、
ナデナデや抱っこしてほしい様子を見せます。

飼い主以外はダメという猫もいるのですが、
それでもやはり野良猫とは違う風情があります。

そのような猫を保護した場合は、TNRではなくTNAに変更です。

TNAとは、次の言葉の頭文字。

T→Trap(捕獲し)
N→Neuter(不妊手術して)
A→Adopt(譲渡する)

そのような人なつこい猫は不妊手術後、
警察と保健所に迷子の届け出の有無を確認後
里親を募集します。

元々人と暮らしていた猫が野良で生きてゆくのは
とてもつらいことだったでしょう。

再び人間家族に迎え入れられて喜んでいるように見えるのは
私たちの希望的観測でしょうか。

ともあれ猫ボランティアはこのようにTNRとTNAを
猫に応じて臨機応変に対応しているのです。

 

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